コロワイド決算見てみよう!

こんにちわ。ジーパン会計士です。

今日は、2020年5月22日に開示されたコロワイドの決算を解説します。

コロワイドについては、196店舗を閉鎖という衝撃的なニュースが出ています

https://www.asahi.com/articles/ASN5R4DMKN5RULFA002.html

今回は、

・196店舗も閉鎖しているけど、財政状態は大丈夫なの?
・コロワイドの決算はどこを見ればいいの?
・新型コロナで影響を受けやすいけど、どれくらい影響したの?

という点を、会計士の目線で解説していきます。

コロワイドってどういう企業?

コロワイドは、一言でいえばレストランや居酒屋を運営するのを主目的とした企業です。

HPによると

コロワイドグループは「食」に関わるあらゆるフェーズで事業を展開する、「食」の総合プロデュース事業会社です

とあります。

主な店は下記の通り(HPより)

みなさんも何度も訪れ、町でよく看板を見かけるレストランや居酒屋です。

ジーパン会計士
かくいう私もお酒は好きなので、土間土間なんかは昔よく通いました。
今は家族がいますし、コロナもあるので家で飲むのが主流になりましたが、この状況が落ち着いたら行きたい店ですね

決算トピック

コロナによる業績下方

今回の決算トピックは、もちろん新型コロナによる影響が大きいというところです。

2020年3月期の業績の説明資料によると、以下の通り

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7616/tdnet/1836070/00.pdf

(2020年3月期の業績に関する説明資料)

3月に売上高が一気に30%程度下落しています。

新型コロナによる損益インパクトは、下記資料に詳細が記載してあります。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/7616/tdnet/1836068/00.pdf

売上高が68億減少したことにより、事業利益(※)が22億円減少し、さらに店舗の減損損失などを含め、新型コロナによる影響は139億円と試算しているようです。

これは非常に大きなインパクトを与えています。

(※)IFRSにおける営業利益と日本会計基準における営業利益は異なり、集計する費用が異なっています。コロワイド決算上の「事業利益」は日本の会計基準での営業利益と同じ水準にしています。

ジーパン会計士
影響の大きさを見るためには、自己資本がどれだけ毀損したかが一つの目安になります。
自己資本が2019年3月期で348億円だったのですが、2020年3月期で249億円と約100億円(約28%)の毀損となっています。これは非常に大きなインパクトであると言えます。

社会情勢の変化をとらえ、減損会計をより厳しくとらえる

今回、新型コロナによる業績の見込みについては、企業ごとにその影響度の判断基準が異なります。なぜなら、先が見えにくい状況であり、かつ、影響は企業ごとに異なっているためです。

会計基準上では、「一定の仮定をもって」決算に反映するという形になっています。

その状況下で、コロワイド決算は

かなり厳しめに新型コロナによる影響を見積もっている

とみられます。

理由は2つ。

まず1つ目として、現状の状況の分析及び将来の見込みについて、決算説明資料の下記スライドの通りと見込んでいます。

ジーパン会計士
「外食産業は大きな転換期へ」という文言が示している通り、新型コロナによる影響が一時的なものではなく、永続的に続くものと見ています。

さらに、2つ目として、減損の考えをより厳格化しています。

決算説明会資料の下記スライドにあります。

ジーパン会計士
・将来の収益の改善を見込まない
・単年度で赤字店舗だと減損対象
などはかなり厳格に減損会計を適用している、と言えます。

手元資金を強化

新型コロナによる影響は決して一時的なものではない、ということから手元資金の確保を強化しています。

手元資金及び銀行からの借入枠を含めて760億円の資金を用意しています。

この760億円がどの程度の資金なのかというところですが、個人的には以下の通り分析しています。

① 月商の4か月分に相当

コロワイドの2019年3月期の売上は2,443億

2020年3月期の売上は2,353億

つまり、月商は約200億円となり、760億円は月売上の4か月分に相当します。

② 年間固定費に相当

変動費・固定費について決算書から推測すると、およその年間固定費は800億円~900億円程度であり760億円は約1年間の固定費に相当します。

売上原価は全額変動費とし、販売費及び一般管理費の中から固定費を算出します。

2019年3月期の有価証券報告書を見ると、販売費及び一般管理費の明細は以下の通りです。

このうち、人件費・リース料・水道光熱費あたりは、売上の多寡にかかわらず計上されるコストであり、固定費です。およそですが800億円~900億円が固定費と思われます。

ジーパン会計士
いわゆる固変分解と言われる、コストを変動費及び固定費に分解し、決算資料を見ていくことは会社のビジネスを知る上で有効です。
固定費が多いビジネス=売上減少の影響を大きく受けるビジネス
固定費ビジネスとして有名なのは、電車や飛行機などの移動に係るビジネスです。

決算書の見方

それでは、具体的に決算書(財務諸表)を見ていきましょう。

財務諸表の見方ですが、貸借対照表→損益計算書→キャッシュフロー計算書の順に見ていくのがおすすめです。

私は下記のように見ています。

貸借対照表から安全性を分析

それではまず、貸借対照表(BS)から見ていきましょう。

安全性を見るために重視する指標は下記です。

BSから安全性を見る
・自己資本比率が10%以上
・流動比率が120%(飲食系は70%)
・手元流動性が1か月以上(大企業)

チェックポイント①:自己資本比率が10%以上か?

IFRSでは、自己資本比率ではなく、親会社所有者帰属持分比率となります。(少し言いづらいですね・・・)

基本的に自己資本比率は10%程度あるのが望ましいです。

コロワイドはちょうど10%なので、自己資本比率10%はクリアしています。

チェックポイント②:流動比率が120%(飲食系は70%)か?

流動比率=流動資産÷流動負債

流動資産は51,376百万円、流動負債は87,834百万円なので、58%。

飲食系は現金回収が多く、流動比率が低めになりやすいですが、70%が目安であり、目安よりも少し低い水準かなと思います。

チェックポイント③:手元流動性が1か月以上か?

手元流動性=(現金預金+流動資産の有価証券)÷月売上

現金預金は32,214百万円、月売り上げは年間売上235,334百万円から19,611百万円。結果、手元流動性は1.6か月分です。

コロナの影響もあり手元流動性はしっかりしてます。

ジーパン会計士
総じてですが、安全性に関しては問題ない水準にあります。
ですが、新型コロナによる影響は誰も見通しが付けれない状況であり、この影響が長期化するとどうなるかは不明です。
とりあえず現状の足元では安全性が十分ある、と評価できます。

損益計算書から収益性を分析

損益計算書(PL)からは会社の収益性を見ることができます。

重視する指標は下記です。

PLから収益性を見る
・売上高の伸長率を見る
・売上原価率、営業利益率を見る

チェックポイント①売上高の伸長率を見る

売上高は2019年3月期:2,443億 2020年3月期:2,353億と減少。新型コロナによる影響を68億と試算しており、その影響を加味しても減収となっています。

チェックポイント②売上原価率、営業利益率を見る

売上原価率

2019年3月期:56.8%  2020年3月期:57.0%

営業利益率(事業利益率)

2019年3月期:3.5% 2020年3月期:2.4%

ジーパン会計士
やはり新型コロナによる影響が大きく、収益性は良いとは言えない状態ですね。

キャッシュフロー計算書から将来性を分析

キャッシュフロー計算書からは将来性を見ることができます。

重視する指標は下記です。

CF計算書から将来性を見る
・営業キャッシュフローがプラス水準で推移しているか
・キャッシュフローマージンが7%を超えているか
・投資キャッシュフローで将来の投資をどれだけ行っているか

チェックポイント①営業キャッシュフローがプラス水準か?

コロワイドの営業CFですが、基本ずっとプラス水準です。2016年3月期からプラスを維持しています。

チェックポイント②キャッシュフローマージンが7%を超えているか?

キャッシュフローマージン=営業キャッシュフロー÷売上高

2019年3月期:6.5% 2020年3月期:11.1%

キャッシュフロー計算書は債権の回収期間、債務の支払などにより増減を受けるものの、おおむねクリアしている水準と言えます。

チェックポイント③投資キャッシュフローで将来の投資がどれだけあるか?

投資キャッシュフローは将来の投資を表します。投資キャッシュフローは通常はマイナスとなります。逆に言うと、投資キャッシュフローがプラスの会社は資産売却により資金を手に入れている状態であり、経営が相当苦しいことを意味します。

投資キャッシュフローは、減価償却及び減損損失と比較することで、将来の投資額を見ることができます。

具体的には、①減価償却費及び減損損失の合計 と②有形固定資産の取得及び売却の合計を比較し、

①>②であれば、将来の投資が不十分

①<②であれば、将来の投資が十分

であると言えます。

ジーパン会計士
総じて、営業キャッシュフローは良い水準にあるものの、将来の投資は少なめと見ています。
新型コロナによる影響の見通しが立てづらく、将来性に少し不安があるとみられます。

まとめ

上のように財務諸表を分析しました。

結果として

①財政状態は良好であり、安全性は高いものの、収益性や将来の投資に若干の不安がみられる。

②今後の新型コロナによる影響が見込みにくいものの、財政状態が良く、さらに減損会計など比較的保守的に見積もっているので企業の体力はありそう。

③新型コロナの影響を深刻に見込んでおり、ウィズコロナの生活に対応できるような新形態の飲食スタイルを実行できれば、事業の伸びも期待できる。

という風に分析しました。

ではまた~

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