JDIの不正がすさまじい件

こんにちわ。ジーパン会計士です。

本日は、株式会社ジャパンディスプレイ(以下、「JDI」)の不正について解説します。

JDIについては、先日、第三者委員会報告による調査結果を報告しておりました。不正の内容が非常に多く、「不正の教科書」とまで揶揄されておりました。

今回のブログは、

JDIの不正会計はどんな不正会計だったのか

のみならず

・どうしてこんなに不正会計をやっていたの?

といったことを解説していきます。

ジーパン会計士
JDIについては慢性的な赤字体質であったことは明らかになっており、なぜそんな赤字体質になったのか・・・それはおそらく家電エコポイント時の需要の見誤りではないでしょうか。

また、監査論的な観点である、「不正のトライアングル」からの分析を解説します。

JDIが実施していた会計不正の概要

それではまず、JDIが実施していた会計不正の内容を見ていきましょう。

JDIのHPから会計不正の概要を見ることができます。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6740/tdnet/1816030/00.pdf

今回、JDIの第三者委員会の調査報告書を見て、驚くべきことは

①不正の種類が非常に豊富なこと

②上場直後から不正を繰り返していたこと

の2つです

不正の種類が非常に豊富

下がJDIのIRに掲載されている、「不適切会計に係る第三者委員会による調査結果及び過年度決算修正について」に記載されている調査委員会の指摘事項です。

データソース:https://ssl4.eir-parts.net/doc/6740/tdnet/1816030/00.pdf

ジーパン会計士
よくもまぁ、こんなに数多くの不正をやってきたなぁ、と脱帽するレベルですね・・・

いずれも費用を繰り延べたり、架空の収益を計上したりするような不正の手法であり、意図的に営業利益を過大計上する不正会計をしていたこととなります。

調査報告書にも記載がありますが、営業利益至上主義が働いており、営業利益の達成に対する高いプレッシャーが存在していたようです。

この不正の種類を見ただけで、ありとあらゆる手を使ってでも営業利益を良く見せたい、という強い意志を感じます。

コラム:なぜ営業利益なのか?
上場直後の資金調達を有利に進めるために、営業利益を重視していたようです。
営業利益が高いことは、企業価値算定(Valuation計算)上で有利に働く→資金調達で有利なため、目標である営業利益の達成を重視していました。

上場直後から不正を繰り返していた

JDIが東証一部に上場したのは2014年3月19日です。

そして、第三者委員会の報告書によると、2014年3月期から不正を行っていた、とのことです。

これは非常に衝撃です。

ジーパン会計士
上場した瞬間から不正会計を継続していたとは、、、、、いったい何を開示し続けていたのでしょうか・・・(汗

意味のない決算書を開示し続けたのは非常に罪が大きいです

JDIの不正会計まとめ
・不正の種類が非常に多い
・意図的に営業利益を過大計上する不正会計をやっていた
・上場直後からずっと不正会計を繰り返していた

なぜそんなに不正が多いのか

それでは、なぜここまで不正会計を繰り返す体質になっていたのでしょうか?

これはJDI設立の経緯、JDI設立前の環境が大きく影響していると考えられます。

家電エコポイントによる需要増加の見誤り

(株)ジャパンディスプレイですが、ソニー・東芝・日立のディスプレイ部門が統合し、2012年4月1日に事業活動を開始しました。

この”2012年設立”というのがキーです

家電エコポイント制度というのが2009年から2011年まで実施されており、要はこの期間に購入した家電について、その家電にエコ性能(省エネルギー性能)が認められている場合、購入価格の一部をキャッシュバックするという制度がありました。

ジーパン会計士
「この時の需要増加が、ある程度継続する」と見誤ったのが大きなミスです

この家電エコポイントの需要増加の見誤りが、長期の業績不振を招くことになりました。

想定した需要が見込めず、また利益率も海外メーカーなどのライバルに押されて販売価格の低下に伴い、減少していたようです。

結果として、

JDIは2015年3月期以来、通期で当期純利益を計上したことがなく、常に当期純損失を出し続ける赤字体質になってしまいました。

ここから、少しでも業績をよく見せようとするプレッシャーが働いていたのが原因です。

日の丸液晶として国からの期待

さらに、JDIの不正が続いた理由としては、国からの期待があったことと推測しています。

JDI設立の背景は、「産業革新機構の主導で」設立されました。

この産業革新機構ですが、Wikipediaによると下のような概要となっています。

株式会社産業革新投資機構(さんぎょうかくしんとうしきこう)は、旧産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(産業再生法)・現在の産業競争力強化法に基づき設立された官民出資の投資ファンド[2][3][4]である。

Wikipediaより

JDIは、直近でいちごトラストから出資を受けるまでは、株式会社INCJが筆頭株主でした。INCJというのは、既存の官民ファンドである株式会社産業革新投資機構から新設分割する形で発足した会社であり、その株主は100%が産業革新投資機構とのことです(INCJのHPより)

つまり、実質的にはINCJは産業革新投資機構が100%支配している会社となります。

INCJという国の出資したファンドがJDIの筆頭株主として長らくJDIの経営を支持していたようです。

「日の丸液晶会社」として、設立時の主導を担い、設立後の筆頭株主であるINCJからの期待は高かったようです。

INCJが求める目標値を何としても達成したい、というJDI内部での欲求がありました。

不正に関与した担当者が自殺?

今回、不正に関して実際に手を動かしていたといわれる、調査報告書上のA氏ですが、なんとすでに死亡しています!

調査報告書にもありますが、不正に関与するのみならず、会社の資産である収入印紙などを横領していたよう

2019年11月26日に、A氏から経営陣の指示により過年度の決算について不適切な会計処理を行っていた旨の通知を行い、その直後である、30日に死亡した

ようです

おそらくですが、横領の容疑をかけられる重圧、今まで経営陣からのプレッシャーによる重圧に耐えられなかったのではないか、と推測しています。

JDI会計不正の背景まとめ
・家電エコポイントの需要増加がある程度継続すると見誤った
・JDIは国主導で立ち上げた会社であり、株主である国からの期待が大きかった
・担当者は自殺(推測)するほどの重圧を受けていた模様

不正のトライアングルからの分析

それでは、JDIの不正を監査論的な視点で見ていきましょう

監査論では、不正のトライアングルという観点があります。

要は、「不正は動機・機会・正当化の3つの状況が重なったときに発生しやすい」ということです。

以下、JDIの不正会計を不正のトライアングルの観点からの分析です。

①動機

動機については、間違いなく、経営陣や株主である国からのプレッシャーでしょう。

しかし、赤字体質には変わらないので、財務諸表の数値を改ざんするしか方法はなかったと思われます。

経営陣や株主からの強いプレッシャーは不正の動機になり、不正会計が起こりやすい環境になります。

②機会

次に機会ですが、調査報告書によると2点あげられています

・ A氏に権限が集中していたこと

・ A氏の上司が、A氏のマネジメントをできておらず、実質的に空チェックになっていたこと

ジーパン会計士
2点目は日系企業あるあるですよね・・・年功序列で上がるためにマネジメントを知らず、人事ローテで部署移動するために部下の仕事についていけないという

会社は、業務のミスを減らすために内部統制の構築が必要ですが、内部統制が働いていない場合、不正の機会が与えられており、不正会計が起こりやすい環境になります。

③正当化

正当化については、上からの指示というのが大きな要因となっています。

上からの指示だし、上も共犯だ。俺が不正会計をすることで会社を守り、国の期待に応えているのだ、という誤った認識が正当化になります。

まとめ:不正のトライアングル
・動機・機会・正当化の3要素が重なると不正会計が行われやすい
・不正会計を起こさない=不正の3要素(動機・機会・正当化)を押さえるのが大事

ジーパン会計士
今後も、業績悪化による不正会計が増えてくる可能性があります。不正は上記の3要素から分析すると、なぜ不正が起こったのか、が理解できるので、知っておいて損はないです!

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