継続企業の前提に関する事項を解説

こんにちわ。ジーパン会計士です。

今日は、継続企業の前提に関する事項についての解説を行います。

前回の記事で、いきなり!ステーキの決算書の読み方を解説しました

いきなり!ステーキの決算書を読んでみよう!

3月 7, 2020

その後、なんと!いきなり!ステーキは継続企業の前提に関する事項のIRを出しています。

リンクは下です

https://www.pepper-fs.co.jp/_img/ir/lib/2020/PFS20200325.pdf

コロナで不況になっている記事をよく見かけます。おそらく、今後もこういった感じで、「継続企業の前提に関する事項」の注記を記載する、といった記事を見かけるようになります。

今回は、そもそも継続企業の前提に関する事項ってなんだ?ってところから、記載する条件、検討方法、記載するとしたら具体的にどこに記載するのか、まで幅広く解説します。

・継続企業の前提に関する事項ってなんだ?
・継続企業の前提に疑義がある事項ってなに?
・実際に開示するとすればどこに注記されるの?

といった悩みが解決できる記事になっています。

継続企業の前提とは

継続企業の前提に関しては、「監査基準委員会報告書570 継続企業(以下、監査基報570)」に記載されています。

監基報570の<<2.継続企業の前提>>には以下のように記載されています。

要は、「企業が将来にわたって継続して事業活動を行うことを前提としていること」を、”継続企業の前提”と言います。

ですが、今回の新型コロナなど、企業は常にさまざまなリスクにさらされながら事業活動を行っており、状況によっては将来にわたって事業を活動するという前提(継続企業の前提)が確実ではなくなる場合があります。

そこで、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事業又は状況が存在している場合には、投資化保護のためにあらかじめ警告を出しておこう、という趣旨で開示が必要になります。

ジーパン会計士
本当に一言でわかりやすく説明すると、「この会社はあと1年間存続できないかもしれません」という警告メッセージになっています

継続企業の前提に関する検討ステップ

継続企業の前提の注記に関しては、以下の3つのステップを通じて検討がなされます。

ステップ1:検討事項

ステップ1
貸借対照表日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事業又は状況が存在するかどうか

まずは、重要な疑義が生じているかどうかの検討がなされます。

重要な疑義に関しては、「監査基準委員会報告570 継続企業」のA2に事例が列挙されています。

財務関連・債務超過、または流動負債が流動資産を超過している状態
・返済期限が間近の借入金があるが、借換え又は返済の現実的見通しがない、又は長期性資産 の資金調達を短期借入金に過度に依存している状態
・債権者による財務的支援の打切りの兆候、又は債務免除の要請の動き
・過去の財務諸表又は予測財務諸表におけるマイナスの営業キャッシュ・フロー
・主要な財務比率の著しい悪化、又は売上高の著しい減少
・重要な営業損失
・資産の価値の著しい低下、又は売却を予定している重要な資産の処分の困難性
・配当の遅延又は中止
・支払期日における債務の返済の困難性
・借入金の契約条項の不履行
・仕入先からの与信の拒絶
・新たな資金調達の困難性、特に主力の新製品の開発又は必要な投資のための資金調達ができ ない状況
営業関連・経営者による企業の清算又は事業停止の計画
・主要な経営者の退任、又は事業活動に不可欠な人材の流出
・主要な得意先、フランチャイズ、ライセンス若しくは仕入先、又は重要な市場の喪失
・労務問題に関する困難性
・重要な原材料の不足
・強力な競合企業の出現
その他・法令に基づく重要な事業の制約、例えば、金融機関に対するソルベンシー規制や流動性規制 等の自己資本規制その他の法的又は規制要件への抵触
・巨額な損害賠償の履行の可能性
・企業に不利な影響を及ぼすと予想される法令又は政策の変更
・付保されていない又は一部しか付保されていない重大な災害による損害の発生
・ブランド・イメージの著しい悪化
ジーパン会計士
上記事例に関しては、「一つでも該当すればアウト、というわけではなく、”総合的に判断して”該当するか否かを検討します。

ステップ1:開示

ステップ1の上記事象を総合的に検討した結果、継続企業の前提に関する注記を開示するまでには至らない場合であっても、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事業又は状況が存在する場合には、有価証券報告書の「事業等のリスク」及び「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」にその旨及びその内容等を開示することが必要となります。

開示対象の資料:有価証券報告書

開示場所:事業等のリスク・財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析

さらに、下記ステップ2で重要な不確実性が存在すると判断され、財務諸表に注記する場合においても、上記の開示は引き続き必要になります。

ステップ2:検討事項

ステップ2
当該事象又は状況を解消又は改善するための対応を行ってもなお、重要な不確実性が存在するかどうか

ステップ1において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在する、と判定された場合は、さらなるステップとして、それを解消または改善するための対応策を策定しなければなりません。

具体的な対応策は、「監査・保証実務委員会報告第74号  継続企業の前提に関する開示について」の5.対応策の検討に記載があります。

  • 借入金の契約条項の履行が困難であるという状況に対しては、企業が保有する有価証券若しくは固定資産等の資産の処分に関する計画、新規の借入 れ若しくは借換え、又は新株若しくは新株予約権の発行等の資金調達の計画など
  • 重要な市場又は得意先の喪失については、他の同等な市場又は得意先の開拓といった計画など

上記はあくまでも例示であり、企業の状況に応じて、対応策は異なってくるのが実務です。

ステップ2:開示

ステップ2の検討の結果

① 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在し(ステップ1検討事項)

かつ

② 貸借対照表日(決算日)において、対応策を検討してもなお、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる

状況においては、継続企業の前提に関する事項として、以下の注記が財務諸表に必要となります。

  1. 当該事象又は状況が存在する旨及びその内容
  2. 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策
  3. 当該重要な不確実性が認められる旨及びその理由
  4. 財務諸表は継続企業を前提として作成されており、当該重要な不確実性の影響を財務諸表に反映していない旨

( 「監査・保証実務委員会報告第74号  継続企業の前提に関する開示について 」より)

ステップ3:検討事項

ステップ3
貸借対照表日後も重要な不確実性が存在するかどうか

ステップ2に該当してしまい、財務諸表に注記した企業については、さらなる検討事項として、ステップ3の検討を行わなければなりません。

ステップ3の検討は、ステップ2と同様のものになります。貸借対照表日(決算日)以降も継続して、重要な不確実性が生じているかどうか、の検討になります。

ステップ3:開示

ステップ3において、貸借対照表日(決算日)以降も継続して重要な不確実性が認められる場合には、以下を「後発事象」として注記する必要があります。

  1. 当該事象又は状況が発生した旨及びその内容
  2. 当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策
  3. 継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる旨及びその理由

( 「監査・保証実務委員会報告第74号  継続企業の前提に関する開示について 」より)

ジーパン会計士
今回のいきなり!ステーキの開示はこの部分です

まとめ

いかがでしたでしょうか。

それでは、簡単にまとめです。

まとめ
・継続企業の前提に関する注記とは、「あと1年間会社が存続できないかもしれない」というアラート
・ステップ1は、疑義又は状況の検討
・ステップ2は、ステップ1の事項が重要な不確実性になるかどうか
・ステップ3は、ステップ2が決算日以降も継続して発生しているか

新型コロナによる影響はすさまじく、最近はニュース、新聞でもネガティブな記事ばかりになっています。

新型コロナがいち早く収束することを祈っています。

ではまた~

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