いきなり!ステーキの決算書を読んでみよう!

こんにちわ。ジーパン会計士です。

今日は、いきなり!ステーキの決算書を見ていこうと思います。

いきなり!ステーキに関しては、店舗閉店を74店行うというリリースをしています。

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6352345

最近は閉店のニュースや、減損計上やらなんとなく明るくないニュースが多い印象があります。

いきなり!ステーキに関しては

いきなり!ステーキ:高成長の理由
・日本で手軽にステーキを食べる風習がない時代に、立ち食いで手軽にステーキが食べられる新規形態の店舗を出店したこと
・原価率(原材料費率)の高いステーキを提供することにより、他店よりも高級な肉を、比較的安い価格で提供できたこと
・赤身肉が健康に良い(ダイエットになる)という風習が一般的になり、赤身肉ブームが起こったこと

などを理由に出店を加速し、売上が好調に増加していきました。

一方、近年においては

いきなり!ステーキ:逆風の理由
・同業他社に真似されやすいモデルであったため、他の飲食店でも同様のビジネスモデルの店舗を展開始めたこと
・急激に出店しすぎた結果、自社で競合しあう店舗が出てきたこと
・原材料費が高騰したことにより、良い肉を提供しているものの、”値段の高いステーキである”という印象をお客様に与えていること

などにより、近年は急激に出店を減らし、閉店も進めています。

結果、減損損失や事業構造改善引当金などどいった会計上の損失を多額に計上しているのが事実です。

この記事では

いきなり!ステーキの決算書の事実の確認及び、それに対する会計士としての視点を書いていこうと思います。

いきなり!ステーキの決算書概要

売上高は好調、だが利益は悪化

それではまず、いきなり!ステーキこと、ペッパーフードサービス(3053)の決算書を見ていきましょう。

いきなり!ステーキは株式会社ペッパーフードサービスが運営している店舗形態の一つになります。

ジーパン会計士
ペッパーフードサービスは4事業運営しています。
・いきなり!ステーキ事業(約8割)
・ペッパーランチ事業(約1割)
・レストラン・商品販売事業(残り)
となっており、ほとんどいきなり!ステーキ事業で占められています。

2020年2月26日に「2019年12月期決算説明会資料」をリリースしています。

下のWebサイトからアクセスできます

https://www.pepper-fs.co.jp/ir/library.php

まずはP.2に記載の「業績の概要」より

これを見て

  • 売上高は前年比106%増加。635億円→675億円
  • 営業利益は大幅悪化。前期は38億円の営業利益に対し、今期は1億円弱の営業損失
  • 特別損益が2期連続で大きくマイナスに影響。

ということに気が付きました。

総じて、売上高は増加しているものの、営業利益はマイナスで、2期連続で当期純損失を計上している状態であるといえます

減損損失や事業構造改善引当金などを特別損失に計上

決算説明会資料のみでは、特別損益の内容は分からないので、決算短信の連結損益計算書を見て内容を確認します。

決算短信上においては、「特別損益」を「特別利益」及び「特別損失」の2つに区分されています。

下に決算短信の特別利益及び特別損失を付けます。

前期(2018年12月期)は減損損失12億円、事業構造改善引当金繰入13億円

当期(2019年12月期)は減損損失27億円、事業構造改善引当金繰入3億円

が特別損益に計上されていることが分かります。

(それぞれの科目の解説は、下に記載しています)

店舗あたりの売上高は減少

2018年12月期の決算説明会資料から、3年間の店舗数推移は以下です

期間店舗数増加数・増加率
2017年12月末653
2018年12月末883+230 +35.2%
2019年12月末1,033+150 +16.9%

それに対して、売上の伸びは以下です

期間売上高増加・増加率
2017年通期359億円
2018年通期626億円+267億円 +74.3%
2019年通期675億円+40億円 +6.3%

注目するべきは、太文字部分です。

店舗数は16.9%増加したのに対し、売上高は6.3%増加のみです

結果として、1店舗当たり売上高の減少を推測することができます。

減損損失・事業構造改善引当金とは

それでは、上で出てきた減損損失及び事業構造改善引当金について説明します

減損損失とは

減損損失とは、企業が保有する固定資産の収益性が低下し、投資回収可能価額が帳簿上の価値を下回った場合に、その下回り部分を損失として認識するものです。

ここは非常に論点の多い項目でありますが、簡単に数値を用いて説明します

例としてレストラン運営を想定します。

上記の通り、まずはステップ①として、新規店舗に資金を投入します。

この際は、店舗で資金が回収できる前提なので、資産性があるとして、会計上、固定資産を認識します。

さらに、店舗運営後も「お客様が多く、運営コストも良好であり、店舗で収益(正確には現金の回収)が出ている限りは会計上も問題がなく、良好な状態です。

しかし、ステップ③のように、お客様が急激に減る・店舗の運営コストが増大するなどの理由により、店舗で収益(正確には現金回収)が見込めなくなった場合、固定資産の回収可能性が低い、と会計上見られてしまいます。

結果、「減損損失」として費用の認識が必要となります。

上記例においては、1億円投資しましたが、結果的に4千万円までしか回収不能なので、差額の6千万円を減損損失として認識しなければなりません。(減価償却費は考慮外にします)

事業構造改善引当金とは

事業構造改善引当金とは、会計上そこまでメジャーではなく、細かい定義に関しては、各会社によるものが多い費用です。

一般的には、「リストラクチャリング(事業の再構築)に際してかかるであろう将来のコストを見積もり、引当金として認識する」ものです。

ペッパーフードサービスにおいて、事業構造改善引当金とは、「退店を意思決定した店舗において、家主に対する中途解約条項に基づく違約金等を、事業構造改善引当金として認識している」(2019年11月14日公表の業績予想の修正資料より)と公表されています。

通常、オフィスビルのテナントなどの賃貸を契約する際には、「〇年(or〇か月)以内の退去申し出については、違約金として△か月の賃料を支払うこととする」といった特約が記載されており、その特約に対する費用のようです。

損益実績を見ての僕の視点

上記損益実績を見ての、会計士としての自分の視点は3つです

原材料費の高騰等による原価・販管費増加に売上高増加が追い付いていない

売上高の伸びが継続しています。ここ4年間の推移ですが

2016/12期 223億 2017/12期 362億 2018/12期 635億 2019/12期 675億

といずれも増収を継続しています(増収=売上が増加すること)

ただし、売上原価及び販売費および一般管理費(略して「販管費」)の伸びがそれ以上であり、結果として営業赤字に陥っています。

結果として、増収はしているものの、増益はしておらず、減益状態、になっています。

売上原価は109%の増加、販管費は118%の増加であり、売上高増加率(106%)を大幅に上回っています。

決算短信にて、販管費の内訳を見ることができます。左が前期(2018/12期)、右が当期(2019/12期)

人件費も増加していますが、地代家賃も増加してますし、その他も増加していますし、全体的に増加していますね

決算短信のP.2 1.経営成績等の概況 (1)当期の経営成績の概況によると、「労働力不足による人件費の上昇」しか記載がなく、非常にあっさりしています。

主な原因としては、労働力不足による人件費上昇ですが、その他の販管費も増加しているため、それ以外の雑多なコストも増加傾向にあります。

営業損失の状態はまずい

上にも関連しますが、「営業損失の状態は非常にまずい」です

営業利益とは、「通常の営業活動(本業)で稼いだ利益」のことを指します。

すなわち、営業損失の状態であることは、「本業からは利益が出ない」ことを指しています

念のため、決算短信のキャッシュフロー計算書で営業キャッシュフローを確認しましたが、営業キャッシュフローもマイナスの状態です。

本業の事業から収益(現金)を生み出せないモデルになっていることは非常に危険です。営業すればするほど赤字になっている可能性があります。

不採算店舗の一掃、管理コストの減少、などのリストラクチャリング(事業の再構築)が必要かなと思います。

事業構造改善引当金もその一環ですが、早急に営業黒字&営業キャッシュフロー黒字状態まで回復しなければならない状態です。

フリーキャッシュフローが大幅減少

フリーキャッシュフローとは、自由に使えるお金のことを指しています。

具体的な計算方法は、営業活動によるキャッシュフロー+投資活動によるキャッシュフローのことです。

項目2017/12期2018/12期2019/12期
営業活動CF40億64億△6億
投資活動CF△32億△63億△62億
フリーキャッシュフロー+8億+1億△68億

上がフリーキャッシュフローの動きです。

2019/12期のフリーキャッシュフローのマイナス68億というのは衝撃です

フリーキャッシュとは、自由に使えるお金であることは上で書きましたが、フリーキャッシュフローがマイナスというのは、事業を継続していく上で資金が減少している状態を指しています。

営業活動によるキャッシュフローがマイナスの状態は非常に危険なので、いち早くこの状況から脱却するべく、リストラクチャリングなどの施策が必要な段階だと推測します。

今後の資金の動きに注目

いきなりですが、質問です

企業が倒産するのはどういった状況でしょうか?

・連続で赤字を計上しているとき?
・債務超過の状態になっているとき?
ジーパン会計士
いずれも違います

答えは簡単で、「資金が尽きるとき」です。

会社は事業を継続するためには、「資金」が必要です。

資金とは、貸借対照表での「現金及び預金」に該当する部分です。

そういう意味では、業績の良くない会社の決算書においては、

  • 現金預金があとどれくらいで尽きる状況なのか?
  • 仮に今の現金預金が尽きたとして、銀行からの借入が行える状況だろうか?
  • 銀行からの借入以外にも、社債発行や増資による調達は可能だろうか?

といった視点でも決算書を見ています。

そういう観点では、新株予約権を発行しており、69億円ほど資金調達予定とのリリースも出しています。

https://www.pepper-fs.co.jp/_img/ir/lib/2020/PFS20200115.pdf

業績は決して良いとは言えない状況ですが、資金繰りのめどはそれなりについている状況なので、しばらくは事業継続可能だろうな、今後も決算書を見ていこう、というのが僕の感想です。

まとめ

いきなり!ステーキこと、ペッパーフードサービスの決算書の見方、どうでしたでしょうか?

決算書は人によって様々な見方があるかと思いますが、僕の決算書の見方も一つの参考にしていただければと思います。

減損損失、事業構造改善引当金繰入など会計的な論点もあり、また、もともと筋トレしていていきなり!ステーキはかなり通っていただけに、読み込んでいてとてもおもしろかった、というのが僕の感想です。

最後までありがとうございました!

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